分節化

井筒俊彦『意識と本質』の鍵概念。私たちの現実は五感で認識するようには実在せず、外界は素粒子の渦巻くカオス(混沌)。言葉がこのカオスを区切り、太陽や海といった構成要素へ輪郭づける作業を分節化と呼ぶ。言葉がなければ太陽はただの強烈な光、海はただの巨大な水溜まりにすぎない。言葉を使いこなすには対象の「本質」を見極めていなければならず、分節化と本質把握は表裏一体とされる。

言語が異なれば分節の仕方も、深層意識(言語アラヤ識)における本質把握やイマージュも変わる。文化共同体ごとの本質体系が文化的無意識に沈殿し、各人の現実認識を規定する。

言語以前の未分節なカオスを出発点に置く点で、ベルクソン[pure-duration|純粋持続]と問題意識を共有する。また言葉と比喩が心の世界を作り出すとするジェインズの空間化による意識論とも、言語が現実・意識を構成するという論点で交差する。東洋思想では逆に、禅問答などで分節を外しの境地に至ろうとする。