シミュレーション仮説
私たちが生きるこの世界は全体が、知的な存在の作ったコンピューター・シミュレーション(仮想現実)である、とする仮説。映画『マトリックス』が描く世界がその典型像で、デカルト的懐疑や「水槽の中の脳」の思考実験の現代版にあたる。
かつて物理学では半ば冗談だったが、世界が数学で記述できすぎる謎(unreasonable-effectiveness-of-mathematics)や物理定数のファインチューニング、多世界・他宇宙論の議論を背景に、真面目な検討の射程に入ってきたとされる。ボストロムの論法は、確率論から「自分が生身である可能性はほぼゼロ」と結論する。
仮説には複数のパターンがある。脳は生身で環境だけがシミュレーション(マトリックス型・水槽の中の脳)、脳もろともシミュレーション、全体のフルシミュレーションか一部だけか、など。動画 8uc1uzq2PRc では、原理的な実現可能性(最初の世界はどこから)、心を再現できるか(hard-problem-of-consciousness)、そして懐疑としての固有性(クリエイターの意図の不可知性)が論点になる。ホログラフィック宇宙論とも、現実が基底からの「投影」だとする点で響き合う。