シミュレーションの無限後退問題
出来事の根拠づけが、その出来事自身と同じパターンによって説明され、いつまでも説明が終わらない状態(無限遡行)。動画 8uc1uzq2PRc で青木がシミュレーション仮説の難点として提示する。
シミュレーションは物理的な装置(脳・計算機)の上で走るはず。ところが、その脳や装置自体もシミュレーションだとすると、それを走らせるさらに上位の物理世界が要り、それもまたシミュレーションでは……と、入れ子が無限に続く。心の哲学のホムンクルスの誤謬(見ているのは脳の中の小人だと説明すると、その小人の中にもまた小人が要る)と同型である。
この入れ子では、いちばん最初に実現した世界=「現実」がどこなのかを特定できなくなる。ボストロムのハムレット初演の比喩(無数の上演のどれが何回目・どのバージョンかを特定できない)もこれを言う。青木は映画『マトリックス』の、近未来世界でネオが遠隔感覚や物体吸収といった本来は仮想内でしか起きない力を発揮する描写を、未来世界までもがマトリックスではと思わせる無限後退の現れとして読む。
要するにシミュレーション仮説は、世界がどう最初にできたかの説明をほぼ不可能にする説明形式を取っている、というのが青木の指摘。